認知的フュージョンに陥りやすい理由とその回避方法

人目が気になる人にとって、認知的フュージョンは厄介な存在です。

(認知的フュージョンについて詳しくはこちら:人目が気になるあなたに気を付けてほしい認知的フュージョンの落とし穴

「自分は変」「人を不快にしている」「嫌われている」などのマイナスの感情を必要以上に増幅してしまうからです。

そんな悪影響を与える認知的フュージョンですが、実は、人間の持つ思考能力の裏返しでもあります。

どういう事かというと、日常生活において私たちが思考能力を活用して行う問題解決は、認知的フュージョンにとてもよく似た経路で物事を考えているのです。

あたかも実際にやっているかのように頭の中でイメージしたことを、現実で再現することで問題を解決していく。思考と現実の一致を前提にした問題解決は、思考と体験を混同してしまう認知的フュージョンととても近い関係にあります。

日常的な問題解決

では、おなかが空いているとき、どうそれを解決するか考えてみましょう。

まず、お腹を満たす方法をいくつか思い浮かべてください。「コンビニに行ってお弁当を買う」「冷蔵庫の材料で簡単に調理する」「スーパーでお惣菜を買う」「昨晩の残り物を温める」などなど様々な方法があります。今回はコンビニに行ってお弁当を買うことに決めたとしましょう。

次に、「コンビニにお弁当を買いに行く」ことについて、頭の中にどんな考えが浮かんでくるかに着目してください。

近所のコンビニの外観、お弁当コーナーまで歩いていく様子、目当てのお弁当が陳列されている様子、それを手に取る様子、いくつかイメージが湧いてきたかと思います。場合によっては、スマホの料金をコンビニで払うなどの関連したイメージも浮かんでくるかもしれません。

では最後に、実際にコンビニへお弁当を買いに行ったとしましょう。上記のイメージと実際ではどのような違いが生じるでしょうか?

目当てのお弁当が売り切れだったり、店員さんがいつもと違う方だったりと、小さな違いはあるかもしれません。しかし、コンビニが駐車場になっているだとか、お弁当コーナーが消えて缶コーヒーで埋め尽くされているようなことは滅多に起こりません。

頭の中のコンビニのイメージを現実で再現することによってお弁当を手に入れ、空腹を満たす。私たちが日常的に繰り返している問題解決の一例です。

認知的フュージョンに陥らないコツ

このように、思考(想定)=体験(現実)を一致させるのが、人間の持つ思考能力です。さらには、現実で再現できないという壁にぶつかっても、考えを修正し調整することでそれを乗り越える能力まであります。

それらを日々活用して生きている私たちは、構造的に認知的フュージョンを起こしやすい状態にあるのです。

では、生きていくうえで必要不可欠な思考能力を損なうことなく、認知的フュージョンに陥らないコツはあるのでしょうか?

そのひとつは「思考の対象を見極める」ことにあります。

日常的な問題解決に使う思考能力は、その思考対象が外界(心の外)にあります。上記の例でいえば、コンビニ、スーパー、お惣菜、冷蔵庫など外界にあるものをイメージして、現実でどう再現するかという思考です。

一方、認知的フュージョンに陥ってしまう場合は、思考対象が内面(心の中)にあります。「自分は変」「嫌われている」「人に不快感を与えている」など自分の心に芽生えた感情について、自問自答を延々と繰り返すような思考です。

「思考の対象」が心の中か外かという点に留意することによって、自分の思考がいま問題解決をしているのか、認知的フュージョンに陥ってるのか区別しやすくなります。

今日から自分の思考についてどちらの比重が高いか、ぜひ注意深く観察してみてください。