人目が気になる場合に、短期的な対処法と長期的な対処法があります。自分ですぐに思いつくのが短期的な対処法であり、ACTは長期的に同じ問題を繰り返さないようアプローチしていきます。
短期的な対処法
短期的な対処法には即効性があるものの、持続的な効果はなく同じような不安が再燃し続けます。具体的には以下のようなものです。
- 人目が気になる→ マスクや帽子というアイテムで素顔を隠す
- 上手く話せるか不安→ 話しかけること自体をやめる
- 相手に嫌われたくない→ 親密な人間関係を避ける
しかもこれらはさらなる問題を引き起こします。
- マスクや帽子というアイテムで素顔を隠す→ マスクや帽子が四六時中手放せなくなる
- 話しかけること自体をやめる→ 話す必要がある場合にも話しだせなくなる
- 親密な人間関係を避ける→ 社会的に孤立してしまう
長期的な対処法
一方で、長期的な対処法(ACT)には即効性がなく、不安や心の苦痛が立ちどころに消えるわけではありません。しかし、持続性があり、自分の人生を自分で決める活力が湧いてきます。
- 人目が気になる→ 素顔を隠さず人目が気になる気持ちと”共に”行動する
- 上手く話せるか不安→ 不安な気持ちと”共に”話す
- 相手に嫌われたくない→ 不安な気持ちと”共に”付き合う
これらは短期的な対処法と反対に、継続することによってやりたい方向へ進む生活が開けてきます。
- 素顔を隠さず人目が気になる気持ちと”共に”行動する→ 人目の多い場所や機会でも参加できるようになる
- 不安な気持ちと”共に”話す→ 時には失敗しながらも意思疎通ができるようになる
- 不安な気持ちと”共に”付き合う→ 時には失敗しながらも社会的な繋がりを持つことができる
不安な気持ちと”共に”行動するとはどういうことか
文字だけ見ると常にビクビクしながら過ごすように誤解されるかもしれません。もちろんそうではなく、不安な気持ちが湧いてきたときに、それを肯定も否定もせず、気持ちを見つめながら行動を続けるという状態を示しています。
たとえば、電車の中で本を読んでいたとします。人目が気になり「変に思われていないかな」「不快にしていないかな」という思いが湧いてきました。ここで、「その通り自分は変なのだ」と考えて席を立つのが”肯定”です。また、「いいやそんなわけない思い込みだ」と考えを抑え込んで、頭に入らないのにそのまま本を読み続けるのが”否定”です。
不安な気持ちと”共に”行動するのはそのどちらでもなく、まず湧いてきた不安と平行して自分の呼吸やシートの座り心地も同時に感じられるようにします。そして本から目線を上げて周囲を感じます。スマホを弄る人、眠っている人、時には誰かと目が合うかもしれません。その目線を上げた状況をキープし、本を読み進めるだけの心の余裕が出来たなと感じた時に、はじめて目線を本に落として読み進めていきます。このような態度が不安な気持ちと”共に”行動するという状態です。
参考になる記事
不安な気持ちと”共に”社会生活を送る意義や方法について他の記事でも解説しているので参考にしてください。